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0_00 開講のごあいさつ

▼講義(こうぎ)のねらい
 「Terra(てら)の科学(かがく)−Club Geo(くらぶ じお)の冒険(ぼうけん)−」は、地球科学(ちきゅうかがく)の講義をします。
 Terraとは、大地(だいち)、地球(ちきゅう)という意味(いみ)です。
 この講義の対象(たいしょ)とする「Terra」とは、地球自身を、もちろん、ふくみます。しかし、この講義では、もっと広く「地球」というものをとらえます。地球の外にむかっては、惑星(わくせい)、太陽(たいよう)、他(た)の太陽系(たいようけい)、銀河(ぎんが)、そして、宇宙(うちゅう)までをあつかいます。また、地球の中(なか)に向かって、大気(たいき)、海洋(かいよう)、大地(だいち)、生命(せいめい)、地球の内部(ないぶ)、地層(ちそう)、岩石(がんせき)、鉱物(こうぶつ)、DNA(ディ エヌ エイとよみます)、分子(ぶんし)、元素(げんそ)、素粒子(そりゅうし)まで、あつかいます。
 つまり、「Terraの科学」では、「この世(よ)」の、ありとあらゆるものを、あつかいます。
 Terraの「もの」(物質(ぶっしつ)といます)や「できごと」(現象(げんしょう)といいます)は、変化(へんか)にとみ、おもしろく、そして不思議にみちています。そんなTerraを、自分自身(じぶんじしん)で、感(かん)じてください。
 おなじ講義をうけても、たぶん、ひとりひとり、Terraの感じかたは違(ち)がってくるはずです。でも、それでいいのです。一つのTerraでも、それぞれの人の思うTerraがあっていいはずです。そんなTerraを、自分の身近(みぢか)に感じ、そしてたいせつに思えるようになれば、この講義は大成功(だいせいこう)です。
 わたしたち人類(じんるい)は、長い時間をかけて、Terraについて、おおくの知識(ちしき)を学びました。でも、それは、地球の神秘(しんぴ)のホンの一部にすぎません。Terraは、まだまだ、わからないことだらけです。
 そして、この「Terraの科学」を読んで、Terraをもっとよく知ろうとする人、また、Terraを愛(あい)する人、あるいは、Terraの新しい知識(ちしき)をつけくわえる科学者(かがくしゃ)になってほしいのです。


▼私の役割(やくわり):良(よ)き師(し)を目指して
 むかしの日本には、「寺子屋(てらこや)」(寺小屋とも書(か)く)というものがありました。寺子屋では、生活に必要な、読(よ)み、書(か)き、そろばん、を教えました。今では、読み、書きはそのままでしょうが、そろばんは、電卓(でんたく)、あるいはパソコン、インターネットに変(か)わるのかもしれません。
 寺子屋には、もう一つ重要(じゅよう)な役割(やくわり)があったと思(おも)います。それは、講師(こうし)(かつては師匠(ししょう)とよびました)と生徒(せいと)(弟子(でし))との師弟関係(していかんけい)をもつことです。寺子屋では、個別(こべつ)の学習(がくしゅう)指導(しどう)をしていて、濃厚(のうこう)な師弟関係をもっていました。そのような師弟関係による接触(せっしょく)によって、人間(にんげん)形成(けいせい)もおこなわれたと考(かんが)えられます。
 もし、寺子屋で、良(よ)き師(し)にめぐりあった弟子は、非常(ひじょう)に充実(じゅうじつ)した教育(きょういく)が受(う)けられることになります。そのような幸運(こううん)な「めぐりあい」が、もしかすると一番(いちばん)難(むつ)しいことかもしれません。
 今の社会でも、良き師との「めぐりあい」はたいへん難しいことです。それは、弟子が師匠を自由(じゆう)に選(えら)べないからです。あるいは、自分に合(あ)わなくても、他(ほか)の師匠を探(さが)すことができないからです。良き師との「めぐりあい」は、今もむかしも、たいへん難しいのです。
 インターネットという道具(どうぐ)を使(つか)えば、もしかすると、自分(にあった良き師が見つかるかもしれません。そんな場(ば)にこの「Terraの科学」がなればいいと願(ねが)っています。
 私は、Terraを知(し)りたい人、Terraに興味(きょうみ)を(も)つ人、Terraと友達(ともだち)になりたい人にとって、良き師になりたいと思っています。そして望(のぞ)む人には、濃厚な師弟関係をつくるつもりがあります。そして、一人でも私を、良き師と思っているくれる人がいれば、この講義の開講(かいこう)した意義(いぎ)があります。
 この講義の副題(ふくだい)に、「Club Geoの冒険(ぼうけん)」とついています。不思議(ふしぎ)に思われるかもしれませんが、上でのべたような濃厚な師弟関係をつくるためのClubなのです。実在(じつざい)するクラブです。
 Club Geoの活動(かつどう)を開始して、2年半(はん)がたちました。6名のメンバーがいます。小学校5年生、6年生、中学校1年生、高校1年生、大学3年生、大学院1年生という、それぞれ、出身(しゅっしん)も経歴(けいれき)もまったく違っていますが、Terraが好きな人があつまっています。この講義は、彼らも受けています。そして、最年少(さいねんしょう)の小学校5年生のメンバーが、分かるように、このメールマガジンは書いていくつもりです。
 この講義は、Club Geoにたいして初めておこなう、私からの本格的講義です。
 それともう一つ、新しい試みをおこなっています。それは、私が大学の教養科目(きょうようかもく)でおこなっている講義(こうぎ)と同時(どうじ)進行(しんこう)しています。すべての講義を一度にメールマガジンにするのはたいへんですから、一つずつ公開していきます。現状(げんじょう)で、そのすべてを公開するのに2年かかります。2年後には、新しい内容や、新しいカリキュラムになっているかもしれませんが、現状での予定を示しています。
 その大学の講義内容を、メールマガジンとホームページという場で、じっくりおこなっていきたいと考えています。
 この講義は、小学生にもきける大学の講義でもあるのです。


▼私の目指(めざ)すもの:Terraのリテラシー
 この講義は、学術的(がくじゅつてき)水準(すいじゅん)を下(さ)げることなく、小学生、中学生たちにも、わかりやすいものを、と考えています。地球科学(ちきゅうかがく)の講義を、このようなかたちでおこなうのは、日本(にっぽん)でも例(れい)がないことだと思ってます。
 文章(ぶんしょう)には、最初(さいしょ)に出(で)てきた漢字(かんじ)には、読(よ)みが、すべて()(かっこ)の中(なか)に、書(か)いてます。それに、小学生には、少々(しょうしょう)難(むつ)しい漢字やいいまわしも、あえて使っています。わからなければ、辞書(じしょ)を引(ひ)いて、意味を調べて、読んでください。
 大人(おとな)には、()は、読(よ)みにくいかもしれません。また、わまりくどい表現(ひょうげん)に、たくさん出会(であ)うかもしれません。このようなやりかたのをするのは、誰にでもわかって欲しいからです。この方法は、上で述べたように、たいせつで意義(いぎ)のあることだと考えています。小学生にも、この講義をきいてほしいという趣旨(しゅし)を汲(く)みとってください。わずらわしいかもしれませんが、我慢(がまん)して受講(じゅこう)してください。
 「読み、書き、そろばん」以外(いがい)に、現代(げんだい)の社会では、Terraについての知識(ちきし)も、不可欠(ふかけつ)なものだと思います。それは、現代社会は、さまざまな場面(ばめん)で、全(ぜん)生命(せいめい)や全地球、全宇宙的視点(してん)が必要になっているからです。そのような不可欠(ふかけつ)な素養(そよう)を、リテラシー(Literacy)と呼びます。
 それは、一部(いちぶ)の大人だけがもっていもだめなのです。多くの人が持つこと、そして未来(みらい)を担(にな)う子どもたちが、一人(ひとり)でも、多くこのようなTerraのリテラシーを持つことが、たいせつです。
 私たちが望(のぞ)むこと、そして目指すこと、それは、一人でも多(おお)くの人が、Terraのリテラシー(Terra's Literacy)を持つことです。

2002年4月11日 記(き)
「Terraの科学」講師
小出 良幸(こいで よしゆき)


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