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▼4 地球のつくり
地球は、何から、どのようにできているか、ということを、まとめておきましょう。
地球をつくっているものは、地球の外から中に向かって、磁気圏、大気圏、生物圏、水圏、岩圏という構成になっています。軽いものは上、重いものは下、という順に並んでいます。
磁気圏とは、地球が発する磁気を特徴とするところです。
大気圏とは、いわゆる空気という地球固有の気体があるところです。
生物圏とは、私たちが属しているところで、成分としては、有機物がらできています。生物圏は、地球の圏の中では、いちばん小さく、少ないものです。そして、生物圏は、大気圏から水圏、岩圏にわたってひろがっています。しかし、水圏がいちばんの生活の場です。

水圏は、液体のH2O、水からできています。
岩圏は、岩石、あるいは鉱物からできています。固体地球ともよばれ、地球のものの大部分があることろです。岩圏は、その特徴から、外から内にむかって、地殻、マントル、核となっています。そして、やはり、軽いものは上、重いものは下、という順に並んでいます。地殻とマントルは、岩石からできています。核は、金属の鉄からできています。
以下では、固体地球を代表するマントルと核をみていきましょう。もちろん、どちらも、間接的にみていきます。ただし、断片的ですが、実物に近い証拠もあります。
▼5 マントル
1 マントルの石
地殻から下は、石の層が厚くつづいています。地球の表面から2,900キロメートルまでは、マントルとよばれるところです。その厚さは、地球の半径の45パーセントですが、体積では80パーセントをしめます。つまり、地球の半分以上は、マントルをつくる石でできているということができます。
マントルは、地殻をつくる石とは、別のものからできています。マントルをつくっている石は、かんらん岩とよばれる種類のものです。
かんらん岩は、カンラン石と輝石(単斜輝石と斜方輝石)をおもな鉱物(造岩鉱物)としてできています。そのほかに、スピネル、ザクロ石、斜長石などを少しふくむことがあります。
火山岩のように結晶してないガラスの部分はなく、すべて大きな結晶からできています。深成岩に、分類されています。しかし、マグマがゆっくり冷え固まった普通の深成岩とは、少しちがいます。マントルのかんらん岩は、溶けたことがなかったり、溶け残りだったものです。
マントルをつくっているかんらん岩は、いくつかに細分されます。
ダナイト:カンラン石だけからなるもの(体積で90パーセント以上)
ウェールライト:単斜輝石とカンラン石からなるもの(体積で90パーセント以上)
ハルツバージャイト:斜方輝石とカンラン石からなるもの(体積で90パーセント以上)
レルゾライト:単斜輝石、斜方輝石そしてカンラン石からなるもの
に分けられます。
マントルは、かんらん岩のうち、ほとんどレルゾライトからできていると考えられています。ハルツバージャイトは、溶け残りのマントル、つまりはマグマがいちどぬけ出てしまったかんらん岩だと考えられます。そして、ダナイトやウェールライトは、深成岩の仲間で、マグマから固まってできたと考えられています。
2 マントルの層構造
マントルは、地震波速度の変化によって大きく三つの層に分けられれています。上から、上部マントル、遷移帯(せんいたい)、そして下部マントルです。
地球の地下深くなると、温度と圧力が上がります。その変化は、研究者によって少し違いますが、モデルがあります。
結晶は、そんな温度や圧力に応じて、その条件に安定した構造をとるように変化しているはずです。しかし、じっさいの岩石で、深いところのものは、手に入りません。そんなとき有効な方法が、高温高圧の条件で岩石を合成する実験です。以下のストーリーは、合成実験の結果です。
地球の深部ほど圧力が高くなり、鉱物もより密度の大きいものへと変化していきます。マントル内の遷移帯とは、マントルのかんらん岩をつくっている鉱物が、大きく密度を変化させているところだと考えられています。
上部マントルは、地表から400キロメートルより浅いところをいいます。ここでは、上で述べたようなかんらん岩とよべる岩石からできています。
遷移帯は、地表から400〜650キロメートルの間で、上部マントルと下部マントルの境界部です。この境界が、400〜650キロメートル付近で、上部マントルのカンラン石がもっと密度の大きい構造の結晶に変化するところです。このように、温度圧力条件に応じて、別の鉱物に変わることを相(そう)変化とよびます。
この境界が、はっきりしないのは、相の変化が、一段階でおこるのではなく、何段階でおこることと、鉱物ごとに相の変化の条件がちがっているためです。
カンラン石のスピネル構造には、β(べーた)相とγ(がんま)相とよばれる2種類あります。ちなみにα(あるふぁ)相はカンラン石のことです。400キロメートル付近で、カンラン石(α相)からβ相に変化します。また、500キロメータ付近でβ相からγ相へと変化します。さらに、700キロメートル付近では、γ相のカンラン石は、より高密度の2種類の鉱物(ペロブスカイト構造の名前のカンラン石の高圧相と、マグネシオウスタイトとよばれる鉱物)に分解してしまいます。
輝石も、深くなるにつれて、密度が変化していきます。輝石は、400〜500キロメートルと深くなるにつれて、ざくろ石(ガーネットとよばれます)へと徐々に変化しています。そして、500キロメートルより深くなると、すべてざくろ石だけに変わってしまいます。このようなざくろ石を、最初にこのざくろ石を実験室で合成した研究者メージャーにちなんで、メージャライトと呼ばれています。
メージャーライトは、さらに660キロメートル付近でより密度の大きな、構造(イルメナイト構造とよばれています)へと変わり、780キロメートル付近では、さらに高密度の構造(ペロブスカイト構造とよばれます)の名前のないガーネットの高圧相へと変化します。
以上のように、カンラン石と輝石からできているかんらん岩は、上部マントルの下部、400キロメートルから、下部マントルの上部、700キロメートルにかけていくつもの鉱物の相変化がおこります。ですから、上部マントルと下部マントル境界部ははっきりしないのです。
下部マントルは、650キロメートル (700キロメートルとされることあり)より深い部分です。下部マントルでは、かんらん岩とは、もはやよべない岩石となっています。カンラン石は、ペロブスカイト構造の名前のカンラン石の高圧相とマグネシオウスタイトに、輝石は、すべてペロブスカイト構造の名前のないガーネットの高圧相という鉱物の組み合わせになっています。
これが、だれも見たことのない下部マントルの石です。しかし、この仮想の石は、間接的ですが、論理的、あるいは科学的に根拠(こんきょ)のあるものなのです。これが、想像するという人間の智恵の成果です。
3 均質から多様へ
マントルは、かんらん岩、それもレルゾライトからできているといいました。そのかんらん岩の中身は、深さによって違った鉱物の組み合わせになっているといいました。でも、たとえば、上部マントルや下部マントルは、石の種類でいったら同じものとなります。まあ、それも広い意味(広義(こうぎ)といいます)でかんらん岩に含めれば、マントルはかんらん岩でできているといえます。
べつのいいかたをすれば、マントルは、ある深さでは、同じ種類の均質(きんしつ)な石からできているといえます。しかし、これは、鉱物の組み合わせという視点で見た場合です。
別の視点でみると、マントルのなかは一様でなく、多様であることがわかってきました。同位体(どういたい)組成という視点でものをみると、かんらん岩にもいろいろなもの、つまり多様性があることがわかってきました。
同じ元素でも、質量(ものの量)が違うものがあります。その質量の違う元素を区別するとき、同位体といういいかたをします。そして、同じ元素で、特別な2つの同位体の比(ひ)をとってみると、経歴の違う石を見分けることができます。
特別な同位体とは、別の元素の同位体が壊れてできたものを含んでいるようなものです。そのような壊れる同位体を放射性同位体といいます。そして壊れるのに、何億年、何十億年、何百億年という長い時間がかかるような放射性同位体を使えば、長い地球の歴史を反映した経歴(けいれき)を読みとれるのです。
そのような同位体で、マントルの経歴を知るのにつかわれているものには、つぎのようなものがあります。
放射性同位体 壊れてできた同位体 半減期(億年)
87Rb 87Sr 488
147Sm 143Nd 106
238U 206Pb 44.68
235U 207Pb 7.038
ここで、半減期とは、もともとあった同位体の数が半分になるまでの時間のことです。
このような同位体組成を利用すると、同じかんらん岩とよばれるものにも、さまざまかんらん岩があることがわかりました。そして、グループにわけられることもわかってきました。
それぞれのグループは、いくつかの経歴の違うマントルからできたということがわかりました。そのようなマントルのことを端成分(たんせいぶん)マントルとよんでいます。現在、5つのマントル端成分が見分けられています。
そして、同位体組成でマントルをみると、マントルでみられるすべての多様性は、この5つの端成分マントルが、いくつかがまじりあえば、できると考えられています。
では、このような経歴の違う5つのマントルはどうしてできたのでしょうか。もともと地球は、ある素材(ある隕石の一種と同じとかんがえられています。これは別の講義で説明します)からできとと考えられています。ということは、均質なものから、不均質なものをつくる作用、しかけ、からくり、プロセスなどが必要となります。
ここからさきは、モデルがさまざまあり、まだ決着してないこともおおく、専門的過きるので、やめておきましょう。でも大切なことがわかってきました。ただ、そのからくりは、証拠があり、簡単なもののほうが、多くの支持を受けます。
教訓 均質とは、ある視点で見たときの結果にすぎない
いっけん均質にみえても、別の視点でみれは、不均質なこともあります。でも、不均質なものを均質なものからつくろうとすると、そこに別の経歴やからくりが必要となります。
▼6 核:コア
1 成分
地球のいちばん深くにある核(かく)をつくっているものは、金属の鉄(Fe)に、少しだけニッケル(Ni)が混ざっていると考えられています。その少し混じっているニッケルの量も、重量で5パーセントほどであると考えれています。つまり、鉄はニッケルの16倍ほどの量があるとされています。
このような見えない核の成分は、どのようにして決められたのでしょうか。もちろんそこには、智恵が必要です。
まず、鉄隕石の化学分析から推定されています。
もともとある隕石と同じようなものから、地球も他の太陽系の天体もできたと考えられています。そうすると地球の層構造も、ひとつの材料からすべてつくるというからくりを考える必要があります。
その隕石には、気体の成分、液体の成分、そして核の鉄の成分がふくまれています。
さらに、隕石には、ありがたいことに、こわれて今はなくなってしまった小さな惑星の核をつくっていたようなものも混じっていました。
このような隕石の情報が、地球のみえない核をさぐるのに、非常に大切な役割をはたしました。核が、鉄と少々のニッケルからできているという推定は、鉄からできている隕石からされたものです。
もうひとつ重要なものとして、地震波の情報があります。たとえば、隕石から推定された鉄とニッケル合金は、地震波からえられている核の密度より、1〜2g/cm^3ほど大きくなります。ということは、地球の核は、鉄とニッケルの合金より、密度の小さな成分がふくまれていることになります。
その軽い成分の候補(こうほ)として、水素(H)、ケイ素(Si)、酸素(O)、イオウ(S)などがあげられています。
水素は、金属の鉄によく混じり、高圧では金属の性質をもち、宇宙や隕石にたくさんふくまれている成分です。ケイ素や酸素は、核のすぐ上のマントルにたくさんある成分です。また、イオウは、硫化鉄(FeS)として隕石にたくさんふくまれている成分です。
これらの候補のうち、どれが有力かは、まだ決まっていません。でも、鉄という主成分だけでなく、2番目の成分のニッケルの量も決め、3番目の成分に、せまっているのです。数ある成分の中から、ここまでしぼれたことがすごいとおもいませんか。これも、間接的に調べ、想像力によるものです。
2 核の構造と磁気
核は、温度で3,000〜7,600度(絶対温度、Kという単位)、圧力はおよそ140G〜360GPaです。密度は、10〜13g/cm^3もある超高温高圧の世界です。
地震波でみると、核の内部は、大きく2層にわかれていることがわかります。外側を外核(がいかく)、内側を内核(ないかく)とよんでいます。
外核は液体です。それは、地震波のうち液体を通らないS波が伝わらず、P波が急に遅くなることからわかりました。内核は、固体であることは、P波からわかります。
超高温高圧下の外核では、液体の金属鉄は、水と同じようにさらさらした状態で、流れています。そのスピードは、時速10メートル程度と推定されています。
鉄のような電気を伝える性質(伝導性(でんどうせい)といいます)があるものが動くと、発電機(はつでんき、ダイナモ)のように電気が発生するとかんがえられています。電気が金属の中をながれると、それが磁石のように磁場(じば)をつくります。これが、地球の磁場、つまり地磁気ををつくっているいると考えれています。このようなモデルを、地球ダイナモ・モデルとよんでいます。
地球の磁場は、ほかの地球型惑星(水星、金星、火星)と比べて、けた違いに強くなっています。水星の100倍、火星の500倍の強さがあります。
このような強い磁場によって、地球のまわりには、磁場のバリアができています。これが、磁気圏です。磁気圏は、太陽や銀河から飛んできる有害なイオン粒子をはね返してくれているのです。太陽から激しいイオンが出てくると、その影響で北極や南極に美しいオーロラができます。
石に残された、地磁気(古地磁気(こちじき)とよばれます)は、平均すると20万年ごとに逆転していることがわかります。このことから、外核の鉄の流れの運動も、長い時間をかけて大きく変わっていることがわかります。
3 磁気圏と核に関係があった
地球のいちばん外側にある磁気圏と、いちばん内部の核が、じつは密接な関係があったのです。地球に磁気圏があったから、地上には有害な宇宙線がそそがなかったのです。そのおかげで、生物は陸上にあがることができたのです。
また、地殻の岩石に残された昔の地磁気の記録が、地磁気の変化へ解明し、その地磁気の変化が、核の運動を予想させます。
このように、核−磁気圏−生命、あるいは地殻−地磁気−核の運動という、一見なんの関係ないように見えるものが、よく調べれば、密接な関係があることがわかってきました。
これは、直接の関係としてみえたものですが、間接的な関係までふくめると、もしかすると、なんらかの関係があるのかもしれません。「風が吹けば、桶屋(おけや)がもうかる」ということわざがありますが、もしかすると重要な教訓かもしれません。
教訓:すべてのものには、関係があるかも
世の中にも、一見関係がないように見えても、何らかの関係があるかもしれません。もっと、広くみわたすと、無駄なものなど世の中にはないのかもしれません。
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掲示板:日食に関して・冬至について
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・日食に関して・
Itさんから、質問を受けました。
「2003年の日食がアイルランドやグリーンランドであるようですが、月は太陽とほぼ同じ公転面であれば、南極や北極では日食は起こり難いと思うのですが、月の公転面はかなり変動するのでしょうか?」
というものです。
これに対して私は、
「日食は、原理的には、毎月、月が地球と太陽の間にあるとき、おきます。しかし、日食は毎月の頻度では起きていません。日食とは、月の影が、地球にあたらなければ、観測できません。日食が毎月見られないということ、地球の公転と月の公転が、完全に同一面にないということです。地球の自転軸は、23度ほど傾いています。このような軌道面のずれ、地球の自転軸のずれが、時々しかおこらない日食という天文ショウになっています。」
と答えました。
・冬至について・
さらに、Itさんから、
「以前、『冬至の太陽の昇る位置が近年だいぶ北に変わった』という話を聞きました。私も何となくですが、変わっているように感じます。これは、地球の自転軸のぶれが原因と思いますが、実際にそのようなことは観測されているのでしょうか?」
という質問を受けました。
これに対し、私は、専門家でないというのを断った上で、
「『冬至の太陽の昇る位置が近年だいぶ北に変わった』ということはないはずです。
しかし、冬至には、均時差による効果があります。それを感じ違いされているのではないでしょうか。冬至とは、昼間がもっとも短い日のことです。これは、日の出がいちばん遅く、日没がいちばん早いという日ではありません。そのような違いは、均時差ということからおこります。
均時差とは、視太陽時から平均太陽時というものを引いたものです。私たちが使っている時間は、平均太陽時というものです。冬至は、太陽の中心が冬至点を通過する現象のことです。だいたい12月22日ころにおこります。このとき日の出の位置が、もっとも南になり、南中高度がもっとも低くなります。視太陽時というのは、太陽が真南にあるときが12時とします。そして日没時、日の出時は、そこから半日分の周弧を引いたり、加えたりしたものです。視太陽時によれば、冬至がいちばん日の出が遅く、日没が早い日となります。しかし、私たちは平均太陽時をつかっているため、もっとも日の出が遅い時間は、1月上旬(緯度によって違います)になり、日没がもっとも早い日は、12月上旬になります。これの効果は、夏至にも起きています。
また、地球の自転軸のぶれとして起こるものに、歳差運動とよばれるものがあります。長期間におよぶ変動です。歳差運動とは、2つの効果によるものです。地球の自転軸の変化と、公転面の長期による変化があります。
自転軸の変化とは、太陽と月の効果によって、起こるもので、日月(じつげつ)歳差と呼ばれます。これは、北極星が、本当の天の北(地球の自転軸の方向)に対して、2580年周期でまわるものです。これに対応して、天の赤道も移動します。春分点が冬至点に向かって移動します。しかし、微々たるものです。
北極星の天の北極に現在は近づいています。2101年には、いちばん近づき、27秒(現在、44秒)となります。2250年には、1°、2450年には2°になり、3400年には、ケンタウルス座γが北極星となります。
公転面の変化とは、惑星の作用によっておこるもので、惑星歳差とよばれます。日月歳差と惑星歳差をあわせて、一般歳差と呼んでいます。一般歳差の効果として、春分点の移動が起こります。四季の星座が変わっていくのです。その周期は、23,000年です。5,000年たつと、四季の星座が一つずれます。そして、13,000年たつと、夏と冬、春と秋の星座が完全に入れ替わるのです。」
と答えました。
もし、詳しい方がおられたら、間違ってないか教えてください。
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