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講 義: 2_08 岩石:分類するということ
掲示板: 一講義一回配信・間違い・熱い気持ち

▼1 岩石とは
 大地を構成しているものは、岩石です。「岩石」とは、あいまいな名前です。似たようなものを指すものとして、岩体、露頭、石、石ころ、砂(砂れき)などがあります。それぞれ決まった大きさがあるわけではないですが、ふつうの使われかたから考えますと、順番がありそうです。大きさの順でならべますと、
岩体、露頭、岩石、石、石ころ、砂(砂れき)
となりそうです。
 また、石と岩石は、同じようなもので、専門的には、岩石という言葉を使い、日常的には石を使うということがあります。
 英語でも、rockとstoneという単語があり、専門的にはrock、stoneは日常的に使われます。ですから、rockは、岩石と訳されます。
 なぜ、このようなことをながながと説明したのかというと、ひとは、定義(ていぎ)をしたがる、あるいは分類(ぶんるい)をしたがるということを、身をもってしめすためでもあったのです。
 じつは、岩石には、厳密(げんみつ)な定義はありません。たとえば、「地学事典」をみますと、岩石とは、「地殻上層部を構成する物質」、あるいは「数種の鉱物の集合体」と定義されています。
 これは、本当の定義ではありません。なぜなら、岩石を定義するのに、より上の階層(地殻)や、より下の階層(鉱物)をつかっておこなっています。これをやっているかぎり、一種の責任転嫁(せきにんてんか)の連続(連鎖(れんさ)といいます)おこり、いつまでたっても終わりのない定義となってしまう可能性ができてしまいす。
 もし、正確に定義をするなら、そのものが属する階層(閉じた系(けい)といいます)でおこなうべきです。その階層で定義できないと、けっきょくは堂々巡(どうどうめぐ)りになります。このような堂々巡(どうどうめぐ)りについては、「鉱物」の講義で、より深く考えていきます。
 と、このように、またまた、定義についての定義をはじめてしまいました。このようにひとは(あるいは特に私は)定義したがるものなのです。
 おおざっぱに、岩石の定義をしておきましょう。
 岩石とは、生き物ではなく、無機質(むししつ)の固体で、大きさが、人間の大きさ前後(数10メートルから数センチメートルていど)のもののことです。
 ここまでにしておきましょう。

▼2 岩石の調べかた
1 調べる方法
 岩石を調べるからには、目的があるはずです。その目的が分類することでは、なんのために分類するのという疑問があります。というと、また堂々巡りの議論がはじまりそうです。分類する目的は、ここでは、その岩石が、いつ、どこで、なにから、どのようにしてできたのか、などを知りたいから、としましょう。そのような疑問には、簡単に答えられる場合も、むつかしい場合もあります。
 でも、どんな疑問に答えるにしても、よく調べること、慎重(しんちょう)に調べること、つまりはくわしく調べることが必要です。
 岩石を調べるためには、いくつかの方法があります。その方法としては、
・見て調べる方法
・化学的に調べる方法
・物理的に調べる方法
などがあります。
 化学的に調べる方法を化学的にデータで見る、物理的に調べる方法をも物理的にデータで見る、と考えれば、広い意味では見るの延長(えんちょう)となります。
 ですから、以下では、見て調べる方法について、みていきましょう。

2 見て調べる
 「見る」といっても、自分の目で「見る」ことから、道具を使って「見る」ことまで、さまざまな「見る」があります。
 岩石をさざまざま「見かた」でみて、その性質を記録(記載(きさい)といいます)し、特徴を明らかにし、その特徴から分類し、名前を付ける学問を、記載岩石学(きさいがんせきがく)といいます。この記載するということは、調べることのいちばん最初の仕事となります。

・目で見る
 記載でも、自分の目でみることが、すべてのはじまりです。自分の目による観察のことを、肉眼(にくがん)観察といいます。そして、野外で調査し、岩石のあらわれかた、ようす、まわりの岩石との関係など、野外でしかえられない情報(産状(さんじょう)といいます)を調べていきます。
 まわりとの岩石とどのような関係にあるのかを調べるためには、自分が調べようとしている岩石を回りの岩石と区別しなければなりません。その区別とは、すなわち、分類のはじまりです。
 野外で目で見て、違いをとりあえず区別すること。このさい、岩石の正式な名前など、関係ありません。見分けられことです。そして、その見分けたものは、となりのガケでも見分けられるようになっているほど、よく見ていくことが大切です。
 名前は、たとえば、「白い岩石」でもいいのです。まわりが「黒い岩石」だとしたら、そのあいだははどうなっているのかということは、岩石の関係として大切です。そのあいだが、「灰色の岩石」があるのか、すっぱりとした「境界(きょうかい)」があるのか、白と黒の「しましま」になっているのか。それぞれの岩石の関係が意味するところを、そのガケでじっくり見ておく必要があります。

・近づいて見る
 岩石をくわしく調べたいときには、より近づいて見るということをします。でも、肉眼で近くのものが見るにも、限界があります。10センチメートルより近づけるとよくみえなくります。つまり、ピントがあわなくなるのです。
 肉眼で見るより、もっと近づいてみるためには、道具を使わなければなりません。その道具の種類は、近づける距離によって違ってきます。たとえば、虫めがねを使うと肉眼より近づいて見ることができます。その近づける距離を、べつのいいかたをすると、倍率(ばいりつ)ということになります。
 より近づくと、つまり倍率をあげてていくと、岩石の中のより小さな部分が見えてきます。倍率は、技術の進歩によって、どんどん上がっていきました。岩石を見るための道具を、倍率によってならべていきますと、次のようになります。

 虫めがね(ルーペ)
 実体顕微鏡(じったいけんびきょう)
 偏光(へんこう)顕微鏡
 電子(でんし)顕微鏡
 走査(そうさ)型トンネル顕微鏡

となります。走査型トンネル顕微鏡を使えば、原子のならびまで、みることができるようになりました。

▼3 岩石をつくるもの
1 鉱物
 よりくわしく見た結果、岩石は、より下の階層である鉱物(こうぶつ)からできていることがわかります。鉱物には、たくさんの種類(約4,000種類)が知られています。ところが、岩石をつくっている鉱物は、たくさんの種類があるのではなく、いくつかの代表的な鉱物が、岩石のほとんどをつくっています。そして、少しの量しかない鉱物もふくまれています。
 岩石をつくる代表的な鉱物を、造岩(ぞうがん)鉱物といいます。マグマからできた岩石(火成岩(せきいがん)といいます)は、10種類ほどの造岩鉱物でできています。
 また、少ししかふまれていない鉱物を、随伴(ずいはん)鉱物といいます。随伴鉱物は、量は非常に少ない(体積で数パーセント以下)のですが、種類はけっこう多く、約40種くらいあります。
 でも、火成岩を研究するには、たくさんの鉱物の種類を知らなくても、50種類ほどの鉱物を、とりあえずは造岩鉱物の10数種類さえ知っていて、見分けられれば、研究者になれます。
 私のように記憶のよくないものでも、鉱物の種類が少なかったから、岩石の専門家なれたわけです。鉱物の種類が少なかったおかげで、それを職業とすることができたのです。
 さて、造岩鉱物は、顕微鏡(岩石をみるための顕微鏡は偏光顕微鏡といいます)でみると、色のない鉱物と、色のある鉱物に分けられます。さてさて、また分類がはじまりました。
 色のない鉱物とは、透明だったり、白っぽいものをいい、無色(むしょく)鉱物といいます。また、色のある鉱物は、黒、緑、茶色などの濃い色あいで、有色(ゆうしょく)鉱物とよびます。それぞれ代表的な鉱物を書いておきましょう。

 有色鉱物  無色鉱物
−−−−−−−−−−−
 黒雲母   石英
 角閃石   カリ長石
 輝石    斜長石
 カンラン石 準長石

 また、それぞれの造岩鉱物は、さらに細分されていきます。例えば、斜長石は、曹長石(アルバイト)、灰曹長石(アリゴクレイス)、中性長石(アンデシン)、曹灰長石(ラブラドライト)、亜灰長石(バイトウナイト)、灰長石(アノーサイト)に細分されています。カンラン石は、苦土カンラン石(ドルステライト)から鉄カンラン石(ファイヤライト)まで、6つに細分されています。またまた、分類です。
 細分された鉱物の性質によって、最初に考えた「岩石が、いつ、どこで、なにから、どのようにしてできたのか」という疑問のいくつかに答えることができます。

2 基本
 鉱物にも、非常に多くの種類があるといいました。しかし、実際に岩石をつくる造岩鉱物は数えるほどしかなく、量は少ないけれども随伴鉱物は、種類は多いということをいました。随伴鉱物は、主流ではありません。やはり、造岩鉱物が基本となっています。ですから、岩石の「いつ、どこで、なにから、どのようにしてできたのか」という疑問の答えの多くは、造岩鉱物から得られています。
 基本となる少しの種類の鉱物からでも、無数といえるほどの多様な岩石をつくることができます。一般的な言葉でいうと、少しの要素でも、多様性は、生み出せるということになります。
 例えば、かぎられた音程(おんてい)とリズムから、無数の音楽がつられます。
 いっぽう、随伴鉱物のようにどんなに種類があっても、主流つまり、基本的な要素でなければ、多様性を生むことはできないということです。
 なにかをはじめるとき、基本となることを、まずできるようになれば、あとはその応用でいっきに上達していくということを意味します。
 例えば、中学校の英語を、完全にマスターすれば、日常会話には、困らないはずです。
 基礎を完全に身につけることは、大変だけれども、あとの大きなステップになりうるということです。
 例えば、小学校、中学校、高校、大学などでならう知識や技術は、あるひとつの分野の知識や技術からすれば、限られたものです。しかし、そこでは、基礎が体系的にわかりやまとめられているはずです。ですから、そのような基礎知識をうまく身につければ、万能の知識や技術になりうるのです。

教訓 基本は、万能の道具に匹敵する

▼4 岩石の種類
1 分類の考え方
 さて、つぎにいよいよ、実際の岩石の分類方法を紹介しましょう。
 岩石は、どのような視点で、分類されているかということをしめすために、岩石の名前がたくさんできます。しかし、岩石の名前はど、覚えなくてもいいのです。それよりも、私たちの分類したいという気持ちが、こんなにもたくさんの岩石の分類方法を生みだしたということを感じてください。
 分類とは、ある見方(指標(しひょう)、基準(きじゅん)とよべます)で区分されます。たとえば、見た目、起源、粒の大きさ、色、化学組成などに着目(ちゃくもく)して分類されます。その例を、つぎつぎと紹介していきます。

2 見た目による分類
 見た目による分類とは、岩石のつくり(組織といいます)による分類のことです。
 岩石の組織には、さまざまなものがあり、同じものがほとんどないというほど多様です。組織は、岩石にできかた、成分、起源など、多くの条件によって決まっています。逆にいえば、組織のできかたを解き明かせば、岩石がどうしてできたかも、わかるのです。
 同じものを起源としていても、岩石名が組織によって変わっていきます。

例:変成岩
−−−−−−−−−−−−
  泥岩(でいがん)
  粘板岩(ねんばんがん)
  頁岩(けつがん)
  千枚岩(せんまいがん)
  片岩(へんがん)
  片麻岩(へんまがん):変成岩
  ミグマタイト(混成岩(こうんせいがん)):変成岩とマグマの混じったもの
  マグマ:岩石ではない

 上の例では、それぞれの岩石で、境界が、かならずしもはっきりしているわけではありません。どちらに分類していいか悩むこともしばしばあります。泥岩は、堆積岩の一種ですが、温度や圧力が高くなっていくと、順番に名前が変わり、より変成作用の程度の強い変成岩に変わっていきます。変成岩でいちばん温度圧力が高い条件できるものは、ミグマタイトとです、しかし、ミグマタイトには一部溶けているところもあり、マグマも混じっているものです。

3 起源による分類
 起源による分類とは、岩石がどのようにしてできたかに着目しておこなう方法です。
 岩石は、大きく分けて、火成岩(かせいがん)、堆積岩(たいせきがん)、変成岩(へんせいがん)に分けられます。
 火成岩は、マグマが固まってできた岩石です。
 堆積岩は、岩石のかけら(風化(ふうか)、浸食(しんしょっく)、火山作用などによってできたる)や、生物の死体(遺骸(いがい)ともいいます)、化学的に沈殿(ちんでん)したものが、集まり、固まったものです。
 変成岩は、岩石をつくっている鉱物の一部や全部が、温度や圧力を受けて、溶けることなく別の鉱物に変わったものをいいます。
 このように起源によって分類された岩石が、地球の表面付近にどの程度あるかをみていくと、大きな違いがあることがわかります。

岩石の起源による比率(面積を基準にした%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 火成岩     64.7
   塩基性岩  42.9
   中性岩   11.2
   酸性岩   10.4
   超塩基性岩 0.2
 変成岩     27.4
 堆積岩     7.9

 つまり、地表でみられる岩石は、ほとんど(6割以上)が火成岩なのです。そして、3割弱が変成岩、そして、堆積岩は1割にも満たないのです。ですから、岩石というと、層をなす地層を思いうかべるのは、早とちりです。火成岩を思いうかべるべきでしょう。

4 粒の大きさによる分類
 岩石を構成するもの(鉱物や岩石片)の粒の大きさによって、分類する方法があります。この見方は、組織による分類の一種とも考えられます。でも、ここでは、粒の大きさだけに注目したものですので、区別しておきましょう。またまた、分類したがっています。

例:火成岩
−−−−−−−−−−−−
小  火山岩  (玄武岩)
↑    |
粒  半深成岩 (ドレライト)
↓    |
大  深成岩  (斑れい岩)

 同じマグマからできた火成岩でも、粒の大きさによって、玄武岩、ドレライト、斑れい岩などと別の名前の岩石としてよばれます。ここで、半深成岩という言葉を使いましたが、今ではあまり使われていません。
 堆積岩でも粒の大きさによる分類がよく使われます。みていきましょう。

例:堆積岩
粒のサイズ 岩石名 細分
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      礫岩  巨礫岩(256mm以上)
          大礫岩(256〜64mm)
          中礫岩(64〜4mm)
          小礫岩(4〜2mm)
2 mm−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      砂岩  極粗粒砂岩(2〜1mm)
          粗粒砂岩(1〜1/2mm)
          中粒砂岩(1/2〜1/4mm)
          細粒砂岩(1/4〜1/8mm)
          極細粒砂岩(1/8〜1/16mm)
1/16mm−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      泥岩  シルト岩(1/16〜1/256mm)
          粘土岩(1/256 mm以下)

 堆積岩の場合は、粒の起源も種類もなにも、といません。ただただ粒の大きさだけを基準にしています。

5 色による分類
 岩石の色は、構成鉱物の種類や量を示しています。上で、火成岩では、色のついた有色鉱物と、無色透明の無色鉱物があるといいました。その有色鉱物(あるいは無色鉱物の)量を、色指数(しきしすう)といって、区分に使われます。

例:火成岩
色指数による分類(数値は体積%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   100-90    90-60     60-30    30-0
  hypermelanic melanocratic mesocratic leucocratic
  超優黒質岩   優黒質岩  中色質岩   優白質岩

 変成岩でも、色を分類のために使うことがあります。色は、変成鉱物の種類の違いをあらわしています。そして、それは、変成されるまえの岩石の性質をあらわしています。

例:変成岩
 色  岩石名
−−−−−−−−
 白  白色片岩
 黒  黒色片岩
 緑  緑色片岩
 青  青色片岩
 赤  赤色片岩

6 構成物による分類
 岩石を構成する鉱物、あるいはより小さな岩石片による分類がされることがあります。
 このような構成鉱物の量比による分類は、モード組成とよばれます。モードとは、実際に存在する造岩鉱物の、組合せとその量比のことです。このように、見えている鉱物を、モード鉱物とよびます。
 モード組成によって、構成物の数値(定量的(たいえりょうてき)といいます)によって、岩石を区分することができます。
 火成岩の場合、上の色による分類と似た結果になりますが、構成鉱物の成分によって、珪素が少なく、鉄とマグネシウムに富んでいる鉱物を苦鉄質(くてつしつ)鉱物とよび、珪素、アルミニウム、ナトリウム、カリウムに富んでいる鉱物を珪長質(けいしょうしつ)鉱物とよんでいます。両者の量によって分類することがあります。

例: 火成岩
苦鉄質鉱物のモードによる分類(数値は体積%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  100-70  70-60   60-30  30-0
 超苦鉄質岩 苦鉄質岩 中性岩 珪長質

 また、珪長質鉱物は、マグマの特徴(珪酸の飽和度(ほうわど)といいます)をよく示すことから、珪長質鉱物の種類に注目して分類されることもあります。

例:火山岩
珪長質鉱物の種類     飽和度  玄武岩の場合
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
石英を含む        過飽和  石英ソレアイト
石英・準長石とも含まない 飽和   ソレアイト
準長石を含む       不飽和  アルカリ玄武岩

 堆積岩では、構成する粒の大きさによって、大きい粒(岩片、鉱物片)と小さい粒(基質(きしつ)といいます)に分けられます。その基質の量によって、分類されます。

例:堆積岩
 基質の量  岩石名
−−−−−−−−−−−−
 0-15%   アレナイト
 15-75%   ワッケ
 75%以上  泥質岩

 堆積岩では、上の分類にくわえて、大きい粒の種類による分類がされます。大きい粒として、代表的なものとして、石英、長石、その他の岩石片(鉱物片も含む)がありますので、上の岩石名に代表的な粒の名前をつけて区分されます。アレナイト、ワッケで粒の多いものの名前を付けるます。

例:堆積岩
  種類     アレナイト    ワッケ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
石英が多いもの  石英質アレナイト 石英質ワッケ
長石が多いもの  長石質アレナイト 長石質ワッケ
岩石片が多いもの 石質アレナイト  石質ワッケ

 変成岩は、ある変成条件で、特有の鉱物ができますが、変成岩には、もともとの岩石の鉱物も残っていることもあります。ですから、変成岩では、その変成作用でできる特有の鉱物によって、相(そう)という考えで、分類されています。

例:変成岩
 変成鉱物による相
−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ぶどう石パンペリー石相
 パンペリー石アクチノ閃石片岩相
 ラン閃石片岩相
 緑れん石片岩相
 角閃岩相

7 化学組成による分類
 化学組成とは、化学分析をして、どの成分が、どれだけ含まれているか、数値であらわしたものです。その数値は、元素の濃度や相対的な原子数などによってしめしたものです。
 化学組成があれば、岩石を数値として調べたり、比べたり、計算によっていろいろな性質を示すこともできます。

・主要化学組成
 岩石を構成する主な化学成分を主要化学組成といいます。
 普通の岩石は、珪素(Si)、酸素(O)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リン(P)、水素(H)が、主要な成分となります。

例:地殻を構成する元素(重量%)
−−−−−−−−−−−−−−−
O    46.60
Si   27.7
Al   8.1
Fe   5.0
Ca   3.6
Na   2.8
K    2.6
Mg   2.1
その他 1.5

 岩石や鉱物で、地殻あるいはマントルを構成するものは、酸化物(酸素と結びついたもの)です。ですから、成分を、酸化物の形で表わすことが、よくおこなわれます。

例:地殻の平均組成(重量%)
−−−−−−−−−−−−−−
SiO2  59.12
Al2O3  15.82
Fe2O3  6.99
Na2O  3.93
MgO   3.30
CaO   3.07
H2O   3.02
K2O   2.05
TiO2  0.79
P2O5  0.22

 火成岩では、さまざまな種類のものがあります。その火成岩で主要な化学成分として共通しているものとして珪酸(SiO2)があります。珪酸の量による分類がよっく使われます。

例:火成岩
SiO2の濃度による分類
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
SiO2の濃度(wt%)  <45   45-52 52-66 >66
岩石名      超塩基性岩 塩基性 中性 酸性

 また、マグマの性質をよく示す元素として、ナトリウムやカリウムがあります。それをあわせてアルカリとして、マグマの性質を区別することがよくおこなわれます。

例:火成岩
アルカリ(K2O+Na2O)濃度による分類
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アルカリが多い岩石   アルカリ岩
アルカリが少ない岩石  非アルカリ岩

 さらに、非アルカリ岩では、次のような分類がもちいられています。

例:火成岩
非アルカリ岩
−−−−−−−−−−−−
 ソレアイト
 カルクアルカリ岩

・微量成分
 岩石に含まれる成分で量の少ないものを、微量成分(びりょうせいぶん)といいます。微量成分は、元素(実際にはイオン)のままでしめされることが多くなっています。
 単位として濃度で示すときは、重量パーセント(wt%)、百万分率(ppm)、10億分率(ppb)などが使われます。また、単位として重量で示すときは、mg(1,000分の1g)、μg(百万分の1g)、ng(10億分分の1g)、pg(1兆分の1g)などが使われます。

・同位体組成
 岩石に含まれる目的の元素の同位体組成を調べることがあります。同位体とは、ある元素の中に、原子の重さの違うものがあります。そのような重さの違う原子のことを、同位体(どうたい)といいます。
 同位体組成は、同位体の比で求められます。それは、同位体の濃度をはかっても、精度よく測定できないからです。今では、ほとんどすべての元素の同位体比が精度よく測定できるようになっています。
 同位体組成から、岩石のできた年代や、火成岩がどうようなマントルや物質からマグマからできたかが推定(すいてい)できます。

8 組み合わせによる分類
 今までのべてきた、いろいろな分類を組み合わせることによって、よりくわしい、あるいは細かい分類ができます。
 一般的な火成岩の分類で、いちばんよくつかわれているのは、色(化学組成ともいえます)と組織の組み合わせの例といえます。

例:火成岩
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
火山岩  ピクライト 玄武岩   安山岩 流紋岩
半深成岩       ドレライト ひん岩 石英斑岩・花崗斑岩
深成岩  かんらん岩 斑れい岩  閃緑岩 花崗岩

9 教訓
 分類は、人によって違うことがない(主観(しゅかん)が入らないといいます)ほうがいいことは、いうまでもありません。
 同じ岩石でも、分類の方法によってさまざまな分類が可能であることを、上では、えんえんと述べてきました。つまり、一つの岩石に対して、分類の方法を変えると、さまざなま分類名がつくことになります。
 どの分類を使うかは、分類する人の好みや主観が入ってきます。しかし、どの基準で分類したかをしめせば、他の人もその分類から生まれた考えを、あとから調べること(検証(けんしょう)や追試(ついし)といいます)できます。つまり、客観的(きゃっかんてき)になるということです。
 この客観性が大切なのです。
 どんなに違う意見を持っている人にも、客観的に意見をしめすことができれば、その意見は、知的資産として有効なものになります。
 自分の立場を、だれにでも分かるようにして意見をのべれば、その意見は、多くのひとの役に立つかもしれないのです。その意見は、できれば、論理的で、なおかつ、人と違っている方が、より役に立つはずです。みんなと同じ意見であれば、わざわざのべる必要はないのです。

教訓 自分の独自の考えを持ち、論理的に意見を述べることが重要

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掲示板: 一講義一回配信・間違い・熱い気持ち
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・一講義一回配信・
 今回は、一つの講義を2つに分けず掲載しました。それは、4月からはじまる予定の講義への回数調整と、今回の後半部分が、分類の羅列になるので、読みづらいことを考えて、一つにしました。
 今後も、一回で配信する講義がいくつかでてきます。

・間違い・
 No.42の質問への回答に間違いがあることを、Katさんから指摘を受けました。
「2580年周期でまわるものです」というのは
「約25,800年周期」のまちがいでした。
また、
「ケンタウルス座γが北極星となります」は、
「ケフェウス座γ」のまちがいでした。
 どうも失礼しました。

・熱い気持ち・
 Ikeさんから、
「もっと勉強したい、そして何か役に立てる人になりたい、ただ、その思いだけでしかありません。」
「本を読んだりするのにも限界があり(といってもまだ勉強不足ですが)学校へ行って専門的にやりたいと思いがあります。もっと知りたいからです。」
というメールをいただきました。
 それに対して、私は、以下のように応えました。

「まず、「もっと勉強したい、そして何か役に立てる人になりたい、ただ、その思いだけでしかありません。」という気持ちがいちばん大切です。そして、この気持ちを持続させことがさらに大切です。この気持ちを持続させていける限り、一流になれるかどうかはわかりませんが、役に立つ成果は挙げられるはずです。その成果の多い少ないは、どのような分野を選ぶか、どのような才能があるか、どの程度の努力をするか、どのような「役に立ちたるか」によると思います。
 何も、研究者になるだけが、「役に立つ」人とは限りません。専門的な知識をきっちり身につけていれば、たとえば、今やられているような絵の仕事のように、アマチュアとして、別の職業をもちながら、ボランティアとして、市民や子供たちのためのインストラクターになることもできます。
 私の専門は地質学です。でも、今回のような「Terraの科学」のような分野は、多分、だれもおこなっていないと思います。ですから、私は、地質哲学とよんで、それを新たに確立したいと考えています。
 それ以外の科学全般については、現在、どのようかことが最先端でおこなわれているかは、独学することが可能です。ただし、独学で、その先端の研究者になるのは、大変です。たぶん、現在の自然科学の分野では、設備の点で非常にハンディができると思います。
 もし、研究者でなくて、よりよく学問をするためであれば、どこか自分の希望する分野のある大学の聴講生もしくは研究生として講義を聴くこと、あるいは放送大学の学生となって教育を受けることがいいかもしれません。
 どのような教育制度で学んだとしても、基本は、「学びたい」という熱い気持ちです。その気持ちが続く限り、学問はいつでも、どこでも、いらでもできると思います。その熱い気持ちが持続することを期待しています。」


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