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今回から、小さいものの階層へとはいっていきます。岩石、マグマ、隕石と今まで、私たちの身長とにたような大きさのものがおりなす世界をみてきました。これからは、より小さなものの世界です。
講義
▼1 鉱物とは
1 自己参照(じこさんしょう)
岩石より小さいもの、それは、岩石をつくるものです。岩石をつくるものは、鉱物(こうぶつ)とよばれます。ですから、「岩石とは、鉱物からできているもの」と定義できます。ぎゃくに、鉱物は「岩石をつくるもの」ということができます。
このようなことは、辞書をひいていくとよくあることです。これには、困ったことがおこることがあります。どういうことかといいますと、ある言葉、例えばA、の定義が、他の言葉、例えばB、でなされ、Bの定義が、Aを使ってなされているような場合です。「Aは、Bであるもの」といい、「Bは、Aであるもの」というようなぐあいです。お互いの定義を、他方に寄りかかっている状態です。
岩石と鉱物の例にもどりましょう。岩石の定義を同じ階層ですることが、むつかしいため、他の階層である鉱物を使って説明をしました。でも、鉱物でも同じことが起こり、鉱物の説明をより上の階層である岩石を使いました。
このような問題は、相互参照(そうごさんしょう)、といいます。また、相互参照は、2つのものをもちいておこないましたが、いくつのものをもちいても起こりうることです。いちばん少ない場合は、一個でもおこります。一個の場合は、自己参照(じこさんしょう)とか自己言及(げんきゅう)、自己指示(しじ)とよばれます。相互参照も、広い意味での自己参照の一種といえます。
このような自己参照は、ごくつふうに使うことができます。でも、内容によっては、わけがわからいことがおこることがあります。単純な例では、つぎの文章のような場合です。
「この文章は、ウソです」
というようなものです。この文章が、日本語としては間違っていません。しかし、意味を考えるとおかしなことが起こっています。意味があっているとすると、この文章の内容が間違っています。この内容が正しいとすると、この文章はあっていることになります。つまり、この文章は、矛盾(むじゅん)しているのです。
おかしなことをパラドックス(矛盾のこと)といい、この例のようなものを「嘘つきのパラドックス」といい、ギリシア時代から気づかれていました。このような変わった文章だけのできごとだけでなく、どうも自己参照問題は、広くおこり、深刻(しんこく)なものであることがわかってきたのです。
数学的にこれを取り上げたのがラッセルで、数理論理学的にこのような矛盾を含むことがあることを証明したのがゲーデルの不完全性定理(ふかんぜんせいていり)です。
ゲーデルの不完全性定理を簡単にいうと、つぎようになります。
いくつかのだれでもが正しいと認めるもの(数学では公理(こおり)といわれます)からはじめます。それだけから出発して、いろいろな問題(命題(めいだい)といます)を、だれもが正しいとおもえる手順(証明(しょうめい)といいます)を使って、じゅんばん解いていきます。そして正しいものだけからつくりあげられている世界(体系(たいけい)といいます)があるとします。
そのようなだれもが正しいと思える体系でも、すべてが完全に正しいことが証明できないことがあることがわかったのです。つまり、解けない問題や矛盾した内容が、正しいはずの体系の中にふくまれていることがわかったのです。そのような問題を、「ゲーデル命題」とよんでいます。このゲーデル命題が、いろいろな体系のなかであることがわかってきたのです。数学のような論理的なものにでも、ゲーデル命題があり、完全とはいえないとこがわかったのです。
もちろん、この影響は、すべての科学におよびます。でも、このような自己参照をほりさげることによって、学問が進んでいるともいえます。
岩石と鉱物の相互参照関係をさけるためには、岩石自身を、あるいは鉱物自身を、自分たちだけの階層でよりよく調べるしかありません。でも、岩石をくわしく調べていくと、鉱物のくわしい情報がどうしても必要になります。そしてその情報をえるために鉱物がよりくわしく調べられます。そして鉱物をよりくわしく調べるには岩石のもっとくわしい情報が必要になります。相互参照関係によってお互いが刺激(しげき)されあって、より進歩していくということがおこっているのです。
じつは、科学の世界では、これがよく起こっているのです。相互参照関係にあるため、お互いに進歩をうながし合うことがおこっています。相互参照関係は、ある科学の分野内だけでなく、科学全体、あるいは、学問全体、社会全体までおよんでいます。
自己参照問題は解決できません。でも、自己参照問題をより掘り下げることによって、進歩していくことがあるのです。
2 定義
まず、鉱物の定義をしておきましょう。
鉱物の定義として、「無機質で、物理化学的に均質で、一定の性質を持ち、安定に存在するもの」と事典には書かれています。むつかしいですね。もう少しわかりやすく説明しましょう。
無機質(むきしつ)とは、はっきりしない言葉で、使われる場面や分野によって、意味が変わっていきます。この場合は、生物、おもに人間がつくったものではない、ことを意味します。つまり、人工的なものは、鉱物ではありません。天然にでるものでないと、鉱物とはされないのです。
物理化学的に均質(きんしつ)で一定の性質とは、物理学的な測定や化学的な測定で、鉱物のどこをはかっても同じで、違いがないことをいいます。
そして、天然に安定してあるものを、鉱物と定義しています。
これは、多くの鉱物が、いちおう満たす定義です。でも、多くの鉱物の中には、この定義でいいのかどうか迷ってしまうものもあります。
たとえば、生物がつくっている鉱物も生体鉱物として、鉱物のなかまにすることもあります。また、人体でも、骨や病気によって体の中にできる結石(けっせき)などは、天然のものとされて、鉱物と考えられることもあります。
また、安定してない鉱物もあります。たとえば、海中や地中では安定ですが、空気中にでたとたん、変化していく不安定なものものも鉱物とされます。
また、固体でないものも、鉱物のなかまとされることもあります。
ですから、上の定義は、多くの鉱物はこれでいいのですが、例外もあるということです。そして、定義から外れても、鉱物として調べていく上では問題がありません。より多くのことがわかればいいのです。定義とはここが違っている、ということをわかった上で研究を進めていけばいいのです。
混乱させるようですが、上の鉱物の定義も、じつは、原子や物理、化学などの他の階層をつかっておこなわれています。ですから、鉱物の定義を鉱物自身ですることは、無理があることなのです。
相互参照を広くしていくことは、より広く科学を発展させることにもつながります。この問題は面白いのですが、これ以上深入りするのはやめておきましょう。これで、鉱物の定義ができたとしておきましょう。
3 新鉱物の発見
新鉱物が発見されたとしましょう。では、発見した鉱物は、それが新鉱物だとして、すぐに通用するのでしょうか。新鉱物を発見したとしても、すぐには、新鉱物にはなりません。
国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物・鉱物名委員会で、その鉱物が新鉱物としていいかどうかを検討したのち、投票(とうひょう)で、認定(にんてい)されます。
そのようにして認定された鉱物が、現在、4000個弱(じゃく)あります。そして、年間、50〜60種ほどが、新鉱物としてあらたに認定されています。現在も、鉱物数は増えています。
日本で発見され、新鉱物となっていくものは、年間1〜2個です。現在までに、約70種程度が、新鉱物として日本で発見されました。また、日本で見つかっている鉱物の種類の総数は、930種ほどあります。
4 鉱物のキーワード
鉱物の特徴を考えるとき大切なことがらとして、いくつかのキーワードがあります。ここでは、造岩鉱物(ぞうがんこうぶつ)、固溶体(こようたい)と多形(たけい)について説明しておきます。
・造岩鉱物
造岩鉱物とは、岩石をつくっているおもだった鉱物のことです。岩石をつくっている鉱物でも、量が少ないものを随伴(ずいはん)鉱物とよんでいます。その量の違いをどこにするかは、正確には決められていませんが、数%より多いものを、造岩鉱物とされています。
岩石をつくっている造岩鉱物の種類は、それほど多くありません。火成岩では10種類ほど、変成岩では20から30種類ほどです。ぎゃくに、随伴鉱物は、量は少ないのですが、その種類は多くなっています。
岩石は、数種類の鉱物が岩石の大部分をしめており、多様ですが量の少な鉱物がふくまれていることになります。
堆積岩は、火成岩や変成岩あるいは堆積岩のこわれた破片となった岩石や鉱物からできています。したがって、堆積岩には、造岩鉱物がどれかわからないような多様なものが構成物となっていることがあります。堆積岩のもととなった岩石の造岩鉱物でなく随伴鉱物でも、集まるしくみがあると、堆積岩の造岩鉱物になることがあります。造岩鉱物とはかぎりませんが、砂金や宝石、ある種の元素鉱物などは、そのようなメカニズムで集まることがあります。
・固溶体と多形
鉱物には、ある範囲で化学成分の変化するものがあります。ある化学成分(たとえば、Fe2+とMg2+)が、電気のバランスを(電荷(でんか)といいます)を満たしながら、交換されていることがあります。Fe2+が100%から0%までの範囲をとり、それに対応してMg2+は0%から100%まで変わっていきます。このような鉱物を、固溶体といいいます。固溶体のいちばん端(はし)にあたる成分、Fe2+が100%と0%のところを、端成分(たんせいぶん)といいます。
固溶体は、2つの端成分の場合がおおいのですが、3成分、4成分の場合もあります。固溶体は、いくつかの化学成分が連続的に変化するので、鉱物の性質も変化していきます。
同じ化学成分でも、鉱物の種類が違っていることあります。たとえば、石墨(せきぼく、クラファイト)も、ダイヤモンドも、化学組成は同じ炭素です。しかし、鉱物としては、別のものです。このように、化学組成は同じでも、結晶の構造が違うもの別の鉱物があることを多形(あるいは同質異像(どうけいいしぞう)ともいいます)とよんでいます。
▼2 鉱物の分類
1 分類の方法
鉱物は、いくつかの方法で区分されています。そのおもなものとして、
・物理的性質による分類
・化学的性質による分類
・原子の並びによる分類
などがあります。
分類は、「鉱物の本質」を探るために、たいせつな方法です。さらに、分類するということは、「鉱物の本質」のうち、他の鉱物と、似ている点と、違う点を、科学的に、数値で(定量的(ていりょうてき)といいます)にしめすことがたいせつです。
現在の鉱物の分類は、化学的性質と原子の並びをもちいておこなわれています。少しくわしくみていきましょう。
2 物理的性質による分類
以下では、色、条痕色、光沢、透明度、硬度、割れ方、密度、磁性、発光性、電気的性質、放射性性質、光学的性質、臭い、味、触感などという物理的性質というものをみてきます。鉱物の各論的なものですで、読みとばしてもらってもいいです。だた、一つの鉱物についても、こんなにもいろいろな性質について調べられているということをおのぼえておいてください。
・色
鉱物の色は、表現しづらいものです。鉱物の大きさや、透明度(とうめいど)、光沢(こうたく)などによって、見えかたが変わるし、実物の色をうまく表現しているとはかぎりません。
ようは、実物を見ることがいちばんいいわけです。ただし、注意しなければいけないことがあります。鉱物の表面が変化している(酸化(さんか)や変質(へんしつ)などがおきている)こともあるので、鉱物がほんらいもっている(新鮮(しんせん)といいます)面を出してから調べなければなりません。
鉱物は、一種類の色しか持たない鉱物(たとえば、緑色の孔雀石、藍(あい)色の藍銅鉱など)もありますが、ひとつの鉱物でも、多様な色をしめすものもの(たとえば、蛍石、電気石など)もあります。
結晶中のつくりのみだれ(格子欠陥(こうしけっかん)といいます)や、小さな鉱物、少しだけふくまれている成分などによって、色がつきます。
つくりのみだれは、ある波長の光を吸収するために色がついてみえたり(岩塩、蛍石)、放射線でみだれができると灰色から黒色(煙水晶、黒水晶)になることがあります。
小さな鉱物としては、赤鉄鉱(せきてっこう、赤〜赤褐色)、褐鉄鉱(かってこう、黄〜黄褐色)、緑泥石(りょうできせき、緑〜灰緑色)などが結晶の中にふくまれることがあります。
少しだけふくまれている成分して、コランダムに酸化クロム(Cr2O3)がはいると赤いルビーになり、ヒスイ輝石に酸化クロムが入ると緑色のヒスイになり、かんらん石に鉄イオン(Fe2+)が加わるとオリーブ色になります。
色は、ほかにもさまざまの原因でつきます。不純物が一定の方向にならぶと、宝石でみられる星状や猫目石状のスター効果がおこります。また、結晶の成長中に、化学組成の違う2つの結晶に分離(離溶(りよう)といいます)することによて、光がまがる(回折(かいせつ)といいます)ことで、きらきらかがやくラブラドライトや虹色のオパールができます。
・粉の色:条痕色(じょうこんしょく)
鉱物の色は、わかりにくいのですが、粉にすると、透明感や光沢、不純物などの影響をうけない色が調べられます。金、黄銅鉱、黄鉄鉱は目で見た色は金色ですが、条痕色では、黄金色、緑黒色、黒灰色となり、鉱物の違いが判別できます。条痕色は、素焼きの陶板(とうばん)にこすりつけることによって、鉱物がけずられてできるきずのことです。でも、大部分の鉱物の条痕色は白です。
・光沢
光沢(こうたく)とは、光を受けたときの輝きかたことです。鉱物の光沢は、透明度、反射率、透明度、表面状態で決まります。光沢には、金属光沢と非金属光沢があります。光沢は、結晶が割れやすい面(劈開面(へきかいめん)といいます)が多くみられます。金属光沢でも、金のような金剛光沢が区別できます。非金属光沢には、ガラス光沢、真珠(しんじゅ)光沢、絹糸(きぬいと)光沢、樹脂(じゅし)光沢などがあります。
・透明度
透明度は、結晶の厚さによって変わります。透明度は、厚くなれば、下がっていきます。金属でも、薄くすると、光を通すようになります。ですから、一定の厚さのものに自然光を通して、比べなければなりません。透明度としては、よく透けてみる透明、光は通るが透けて見えない半透明、光を通さない不透明に分けることができますが、かなりあいまいな(定性的(ていせきてき)といいます)ものです。
・硬度(こうど)
鉱物の硬(かた)さのことで、モースの硬度計で調べます。モースの硬度計とは、モース(F. Mohs)が選んだもので、鉱物同士をこすりあって、硬さを比べる方法です。その標準(ひょうじゅん)となる鉱物が決められています。
表 モースの硬度計
硬度 標準鉱物 代用できるもの
1 滑石
2 石膏 つめ(2.5)
3 方解石 銅貨(3)
4 蛍石 鉄釘(4.5)
5 燐灰石 ガラス(5.5)
6 正長石 ナイフ(6.5)
7 石英 ハンマー(7)
8 黄玉(トパーズ)
9 鋼玉(コランダム)
10 ダイヤモンド
硬度として、そのほかにも、ピッカース硬度が使われます。ピッカース硬度とは、ダイヤモンドの針を、鉱物の結晶面かみがいた面にあて、へこんだ深さで硬さをあらわす方法です。
鉱物の硬度は、結晶の結合のしかた、結合距離によってみると共有結合のほうがイオン結合より硬く、結合距離が短いほうが硬いという特徴があります。
・割れかた:劈開(へきかい)
結晶が割れた面のことを劈開といいます。結晶は、原子の結びつきの弱い方向があると、その方向に割れる性質をもちます。割れ方によって、鉱物の特徴があらわれます。たとえば、雲母(うんも)は、ぺらぺらはがれやすい性質をもっていて、方解石は平行四辺形の形に分けやすいという性質があります。劈開は、結晶のつくりの性質をしめしていることがあります。
・密度(みつど)
密度は、鉱物をつくっている元素や、結晶のつまりかた(充填度(じゅうてんど)といいます)によって、決まります。金属光沢をもつ鉱物は、一般に重く(3g/cm3以上)、非金属光沢の鉱物は、軽いという特徴があります。
・磁性(じせい)
磁石を近づけるとくっつく性質を磁性といいます。磁性をもつ鉱物は、鉄(Fe)とニッケル(Ni)を主成分とするものにかぎられます。そのような鉱物には、磁鉄鉱、磁硫鉄鉱、自然鉄、自然ニッケル、トロイライト、マグヘマイトなどがあります。
・発光性(はっこうせい)
結晶が、外部からエネルギーを受けたとき、発熱することなく光を出す性質を発光といいます。
結晶のつくりのみだれ(格子欠陥(こうしけっかん)といいます)や、不純物によって活性体(かっせいたい)とよばれるイオンがあると、発光します。発光には、蛍光(けいこう)、燐光(りんこう)、熱発光(ねつはっこう)、摩擦発光(まさつはっこう)などあります。
蛍光とは、電磁波や放射線にあたっているときだけ光ることです。一般に、鉱物によって特定の波長の光を発っします。燐光とは、光をあてるのをやめても、しばらく光っている現象です。熱発光とは、光をあてたあとで、強く熱すると光る現象です。摩擦発光とは、機械的な刺激によって発光する現象のことです。
・電気的性質
電気的性質には、電気伝導度(でんきでんどうど)、熱電気(ねつでんき)、焦電気(しょうでんき)、圧電気(あつできん)、摩擦電気(まさつでんき)などがありますが、ますます専門的になりますのです、内容をあげるだけで、つぎにいきましょう。
・放射性性質
放射能を出す性質をもつものです。鉱物の化学成分として、ウラン、トリウムなどの放射性元素をふくんでいるものです。
・光学的性質
色や、光沢、蛍光などもこの性質の一部と考えられます。透明と不透明によって、調べかたが違ってきます。透明鉱物は、光を通すので、岩石を調べるのと同じ偏光顕微鏡(へんこうけんびきょう)を利用して調べます。不透明鉱物のうち、鉱石などは、光を当てて反射するようすを調べる反射顕微鏡をもちいます。
・外力に対する性質
外力を加えたときの形がゆがむ(変形(へんけい)といいます)のようすが、鉱物によって違います。そのような違いによって、つぎのようなものに分けられます。
弾性(だんせい):かけていた力をなくすと、元に戻るような性質。
脆性(ぜいせい):力をかけると変形せずに壊れてしまう性質。
延性(えんせい):力を加えたら、壊れずに、長く延びて元に戻らない性質。
展性(てんせい):力を加えたとき、壊れずに広がって元に戻らない性質。
とう性:おり曲げたとき、曲ったままもとに戻らない性質。
でも、ある一定以上の力を加えると、鉱物は壊れてしまいます。
・臭い
臭いのする鉱物は少ないですが、その臭いによって簡単に区別できます。ヒ素(As)をふくむものはにんにく臭がし、セレン(Se)をふくむものはわさび臭がし、亜硫酸ガスをふくむものは硫黄臭がします。
・味
水に溶ける鉱物には味がするものがあります。ただし、毒のあるものものが多いで注意が必要です。岩塩(がんえん)は塩っからく、硝石(しょうせき)は清涼感(せいりょうかん)がし、アルノーゲンは酸味(さんみ)がし、緑礬(りょうばん)は苦味(にがみ)があります。
・触感
手で触ったときの感触を触感といいます。脂感とは、ねっとりした感じで、滑石(かっせき)、石墨(せきぼく)などがあります。粗雑感(そざつかん)とは、さらさらした感じで、透輝石(とうきせき)、石灰華(せっかいか)などがあります。
3 化学的性質による分類
つぎは、化学的性質です。化学結合、パッキング、化学組成などが、おもなものとなります。
・化学結合
鉱物の化学結合のしかたには、共有(きょうゆう)結合、イオン結合、金属結合、ファン・デル・ワールス結合などがあります。
共有結合とは、電子が2つで一組となる性質があるために、電子が2つそろってない(不対(ふつい)電子といいます)原子どうしが、電子を出しあって、つまり電子を共有して、結合をしてるものです。
イオン結合とは、電子の不足している元素(陰イオン)と、電子があまっている元素(陽イオン)が、お互いの電子をやり取りして電気的に中性(ちゅうせい)となって安定している結合です。
金属結合とは、結晶全体を電子が自由に動きまわって(自由電子といます)いるものです。正の金属原子核と負の電子の間に働く静電気の力によって結びついています。
ファン・デル・ワールス結合とは、電気的中性の分子間にはたらく弱いファン・デル・ワールス力というものによって結びついているものです。
のべた順に、結合の力は強く、共有結合やイオン結合と比べると、ファン・デル・ワールス力は、100分の1から1000分の1の力しかない弱い結合となります。
・パッキング:充填(じゅうてん)方法
パッキングとは、原子をどのようにつめこむ(充填といいます)かのことです。結晶は、いちばん効率よくつめこまれていて、最密(さいみつ)充填といいます。最密充填には、立方(りっぽう)最密充填と六法(ろっぽう)最密充填の2つがあります。どちらも、ひとつの原子のまわりに12個の原子が接しています。この隣接する原子またはイオンの数を、配位数(はいいすう)といいます。
・化学組成
鉱物は、化学分析され、数値であらわした化学組成をもちます。化学組成は、酸化物の形(化合物(こごうぶつ)といいます)でしめします。
また、鉱物を元素のくみあわせの形としてあらわすこともあります。酸素のある値にしたとき、陽イオンが何個になるかという値でしめす構造式(こうぞうしき)というものがあります。実際に化学分析の値は、誤差や他の成分があることなどから、きりのいい数字にはならないことがよくあります。
4 原子の並びによる分類
結晶は、平面に囲まれた形をもちます。じっさいには、結晶がすべてきれいな平面で囲まれているわけではありませんが、たくさんの結晶を観察すると、完全なかたち(理想的(りそうてき)といいます)の結晶を考えることができます。このような結晶の理想的な面を、結晶面といいます。
結晶面には、面角(めんかく)一定の法則、有理指数(ゆうりしすう)の法則などの規則性があることがわかっています。
結晶では、対称性(たいしょうせい)というものが重要になってきます。対称性とは、軸(回転軸、回反軸)や点(対称心)の回りを回転させたり、鏡に映した(対称面)とき、もとの形と同じになるとき、対称であるといいます。
対称の要素を組み合わせには、32通りあります。いいかえると、結晶の分類として32通りの結晶がありうるということです。対称性によって分けた結晶の区分を晶族(しょうぞく)といいます。
32の晶族は、座標系で考えたとき、同じ座標系になるもので分けると、おおきく7つになります。三斜(さんしゃ)、単斜(たんしゃ)、斜方((しゃほう)または直方(ちょくほう))、正方(せいほう)、三方((さんぽう)または菱面体(りょうめんたい))、六方(ろっぽう)、立方((りっぽう)または等軸(とうじく))の7つである。
結晶のならびは、X線の曲がりを(回折(かせつ)といます)をしらべたり、電子顕微鏡(でんしけんびきょう)で観察すことによって調べられます。
5 教訓
自然界のもので、人間が手にできるものは、生物か無生物です。無生物は、気体(大気)、液体(海洋、河川、雨)、固体があります。なかでも、固体の岩石・鉱物の多様性が、いちばん多くなっています。
人類は、古くから、岩石・鉱物を利用してきました。人類が、他の生物だけを利用しているうちは、他の生物の変わりませんでした。しかし、岩石・鉱物の利用ができるようになってから、人類は飛躍的に進歩してきます。岩石・鉱物の利用によって人類の文明がはじまったといえます。
結晶には、さまざまな固有(こゆう)の性質が見つかっています。その性質いくつかは、特別な目的に利用できます。鉱物への知識とさまざまな利用方法が、文明の進歩をしめしているともいえるのではないでしょうか。
教訓 鉱物への知恵の集積は人類の進歩の証(あかし)
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掲示板: 伝染する熱き心
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・伝染する熱き心・
前回熱き心が伝染するといいましたが、その感染者からメールがきました。Yamさんから、次のようなメールをもらいました。
「公私共に行動はしつつも迷いながらの日々です。
しかし、私もIkeさんと同じ24歳なので、これからいろいろできると思います。本当はいろいろある可能性から明確な目標を定めて進んでいくのがよいのかも知れませんが、どの方向に進んで行けばよいのかまだわかりません。
でも進んでいかないとどこにもいけないので、今ある武器(熱い気持ち、若さ、友人)を持ってとりあえず進んで行こうと決意いたしました。
気持ちが盛り上がって文章をうまくまとめることができておらず、大変申し訳なく思います。
だらだらと書いてしまったのですが、
結局何を言いたかったのかと申しますと、
・活動はしているが迷いがあったこと
・小出先生やIkeさんのメールを拝読し、もともと持っていた熱い気持ちがより強くなったこと
・まだ迷いはあるけれど前に進んで行こうと思ったこと
・そして小出先生、Ikeさん、KANさんへの御礼」
Yamさんに対し、私は次のようなメールを出しました。
「講義だけでなく、私と購読者とのやりとりが、Yamさんの熱き心に火をつけたのであれば、うれしいことです。
できれば、一生夢をもって生きていたいものです。
子供の頃には、あれにもなりたい、これにもなりたいという、ちょっとした思い付きで、いっぱい夢ができました。やがて、そのなかでも、スポーツや趣味など好きなものができ、熱中します。夢は昂じて、できれば、その世界で一流の人になりたいと思うようになります。これが多くの子供たちの夢の進化ではないでしょうか。そんな子供の頃の夢を実現できる人は、ほとんどいないでしょうがね。
でも、子供の頃のスポーツや趣味は好きから始まっていました。いつの頃からでしょうか、夢を心の奥底にしまって、今やらなければならないと回りの人たちがいうものに、いやいや取り組んできました。
受験勉強のせいでしょうか。でも、受験が終われば、あれもしたいこれもしたいという気持ちではちきれそうになりながら、大学に入ったはずです。ところが、実際には受験勉強で抜け殻のようになって大学生活の多くの時間を無駄に過ごす人が多いではないでしょうか。
熱き心がどこかに行ってしまったようになった自分を見つけて、悲しくなってしまっているはずです。でも、大学も卒業することとになると、何がしたいか漠然とではあるでしょうかあったはずなのに、現実の就職を優先して、ついつい夢を心の奥底にしまいこんでいます。
悲観的な話し方をしましたが、多くの人はこんな人生を歩んでいるのではないでしょうか。夢があるなら、いや多くの人には夢はあるはずです。その夢を実現したいと思うのなら、実現したいという心があれば、いいのです。いままで心の奥底にしまっていた夢を取り出して、現状のなかでその夢に近づく努力をすればいいのです。あるいは、今の現実が不本意なら、一回すべてを打ち捨てて夢だけに全力を注ぎ込むこともいいです。
どう生きるかは、その人自身がもっているいちばん大切な決定権です。それをいつ、どこで、どのように使うかは自分自身が決めることです。
Yamさんのように、現状で可能な限り自分の夢を追い求めることも素晴らしいことです。KANさんのように外国で夢の実現をねらうこともいいでしょう。Ikeさんのように、夢を目指しながら、苦しい思いをされて、そしてその第一歩を踏み出された人もいます。
人それぞれの夢へのアプローチがあっていいと思います。でも、夢を目指す人に共通するもの、それは、夢への「熱き心」ではないでしょうか。そんな「熱き心」さえあれば、どんな状況、境遇、環境、立場にいても、夢に近づくことはできるはずです。
そうです。夢を実現したいと思うこと、それは、もう一歩目は歩みだしたことになります。Yamさんもその一歩を歩みだしたわけです。でも、できうれば、目指すべき目標はできるだけ、明瞭なものにした方がいいかもしれません。Yamさんの夢は、「漠然とですが地球や環境、自然と人をつなげる人間になりたい(仕事に就きたい)とそのころから考えるようになりました」ということですが、それが、仕事になれば、素晴らしいですし、もし少々違っても、自分の心の中で整理がされていればいいと思います。その心の整理のためにも、夢は明確にされた方がいいと思います。それは、今すぐではなくていいのです。じっくり考えればいいのです。私も、いま自分の夢の形について考えていまう。そんな夢について考える時は、苦しいようでもあるのですが楽しいことでもあります。ぜひ、そんな夢が確定したら教えて下さい。」
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