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講義: 3_12 プルームテクトニクス(その2)
掲示板: 帰国後の混乱のお詫び


■講義 3_12 プルームテクトニクス(その2)

▼3 プルームテクトニクスのはじまり
 プルームテクトニクスは、いつ、はじまったのでしょうか。なかなかむつかしい問題です。ほかの惑星の情報を参考にすると、そのようすを知ることができます。
 金星などの惑星のようすをみていると、プルームテクトニックスは、プレートテクトニクスより先にはじまったと考えられています。惑星のできたてのころは、熱かったので、かたいプレートができなかったためだと考えられています。かたいプレートがないので、マントルの底(そこ)から上がってくるスーパーホットプルームが、表層まで上がってきていたのです。
 金星は、惑星の表面が500度近くの温度があり、熱いため、今でもプルームによってできた地形がそのまま表面にあらわれています。惑星の初めのころの姿を、今も残していると考えられています。
 地球では、約38億年前には、地表は冷め、プレートテクトニクスが働いていたと考えられます。それは、プレートテクトニクスのところでのべたことですが、グリーンランドのイスアでは、38億年前のプレートテクトニクスが働いていた証拠(しょうこ)となる岩石(オフィオライトとよばれる岩石類)がみつかっています。そして、38億年前よりあとの時代にも、同じような証拠なるオフィオライトがあります。ですから、地球では、38億年前から現在まで、地表近くではプレートテクトニクスが働いていたことになります。つまり、地表付近は、プレートが水平の運動を場所となったのです。
 地球のはじまりのころは、まだ熱かったので、プレートができても、その運動ははげしかったと考えられます。つまり、海嶺(かいれい)でプレートが生まれて、海溝(かいこう)にしずみこむというプレートの一生(サイクルといいます)が、短かったはずです。
 プレートのサイクルが短いと、熱い状態でプレートはもぐりこんでいくので、海溝近くでできるマグマの性質も、今ものとは違ったものであると考えられます。
 プレートそのものがとけてできるTTG(トーナル岩、トロニエム岩、花崗閃緑岩)とよばれる花崗岩の仲間が、よくできたのではないかと考えられています。その証拠は、太古代の大陸地殻が、TTGが主なものとなっていることです。

..▼4 プルームテクトニクスの歴史
 地球の温度が冷めるにしたがって、プルームが上がっていける位置が、だんだん地球深部に移動していったと考えられています。現在では、670kmより深いところでだけ働くようになっています。しかし、活動する深さは、過去ほど浅かったはずです。
 昔のプルームの活動をくわしくさぐるのはむつかしいのですが、現在のようすから、テクトニクスの一生を考えていくことができます。スーパーホットプルームの活動周期によって、超大陸分裂(ちょうたいりくぶんれつ)期、パルス期、通常(つうじょう)期、の3つにわけらています。

・超大陸分裂期
 プレートが移動すると、海嶺の分布によって、大陸がひとつのところに集まることがあります。地表のすべての大陸がひとつになったものを、超大陸とよんでいます。4回の超大陸があったことが、今のところわかっています。
 それぞれの超大陸は、
19億年前:ヌーナ
10億年前:ロディニア
5.5億年前:コンドワナ
2.4億年前:パンゲア
とよばれています。
 超大陸ができると、超大陸のまわりには海溝ができ、プレートがしずみこむことになります。沈みこんだプレートは、上部マントルの下にたまりメガリスとよばれるかたまりとなります。超大陸の下には、いくつかのメガリスができます。そして、いくつかのメガリスが下部マントルに落ちていくと、スーパーコールドプルームとなります(くわしくは「3_11 プレートテクトニクス」をみてください)。このとき、大陸の下についている物質もいっしょに持ちさっていき、大陸の大きな盆地ができます。
 スーパーコールドプルームがおきると、どこかでスパーホットプルームができます。

・パルス期
 パルス期は、数1000万年から2億年くらいの周期でおとずれます。ときどき大きなプルームが670kmの境界をこえて運動することがあります。これが、パルス期とよばれるものです。パルス期は、コールドプルームが発生した時期(メガリスの落下時期)にあたると考えられています。これは、地球の歴史では、はげしい火山活動(大規模(だいきぼ)火山活動とよばれています)があった時期といっちします。
 大規模火山活動とは、今の地球で見られるような火山活動はまったく桁(けた)のちがう、はげしい火山活動のことです。そのような大規模火山活動が、地球の歴史では、ときどき起こっていることが知られていました。しかし、プレートテクトニックスの考え方では、それを説明するできなかったのです。
 そのような大規模火山活動は、2.5億年前、1.2億年前、6700万年前、6000〜5300万年前、1600万年前などが知られています。もちろん、その火山活動でおおくの溶岩が噴出(しゅんしゅつ)します。多くの量の火山岩は、地表に今でも残っています。
2.5億年前:シベリアと南アフリカのキンバーライトの火山活動とその直後の大陸性洪水玄武岩
1.2億年前:オントンジャワ海台、ナルル海盆、マニヒキ海台など
6700万年前:デカン高原洪水玄武岩
6000〜5300万年前:ケルゲレン海台
1600万年前:コロンビアリバー洪水玄武岩
が、それぞれ大規模火山活動だと考えられています。

・通常期(静穏(せいおん)期とよばれます)
 数100万年の周期(しゅうき)でおとずれます。この時期のマントルは、マントルの上と下で2層に別れた対流をしています。

 これが、今、考えられているプルームテクトニクスの考えです。プルームテクトニクスは、1990年代の初めのころに考えれたものです。ですから、まだ10年くらいしかたっていない新しい考え方です。プルームテクトニクスは、これからまだまだ変わっていき、よりよいものとなっていくはずです。

▼5 プルームテクトニクスの未来
 プレートがどのように移動していくかは、かなりくわしくわかります。また、プルームの動きも予測(よそく)できます。プルームテクトニクスで考えていくと、未来の地表のプレート配置(はいち)が予測できます。
 それが図としていろいろ書かれています。
 ある考えによりますと、5000万年後には、ユーラシア大陸にオーストラリアが衝突(しょうとつ)します。つまり、フィリピン海がなくなります(消滅(しょうめつ)といいます)。そして、5億年後には、ユーラシア大陸に北アメリカ大陸が衝突して、太平洋が消滅します。そして、超大陸アメイジアがあらわれると考えれられています。
 地球は、つねに熱を外に向かって出しています(放出(ほうしゅつ)といいます)。これは、今も地球が冷め続けているということになります。地球が冷めていけば、やがて、プルームテクトニクスが働かなくなるときがきます。プルームテクトニクスが働かなくなると、プレートテクトニクスも働かなくなります。
 しかし、このような状態(じょうたい)になるまでに、どれほどの時間がかかるかは、まだわかっていません。もし、このよな状態になるのに50億年以上かかるのであれば、そのような状態を予測しても、むだなこととなります。なぜなら、太陽自身があと50億年の寿命(じゅみょう)しかないからです。


■掲示板: 帰国後の混乱のお詫び

・帰国後の混乱のお詫び・
 9月1日から13日までイギリスにいってました。14、15日と家庭サービスで研究室には顔を出さず、16日に顔を出すと、案の定大量の仕事がたまっていました。16日から、現実の大学の講義が始まっています。大学の事務や自宅まで、私の捜し求めて連絡がいくつかありました。そのため、いくつもの義理を果たせないままでいます。ですから、出かけた後には、いつも心苦しい思いをします。
 このメールマガジンでメールをいただいた方、まだ返事がほとんど出せませんが、お許しください。きっと近いうちに出しますから、あとしばらくお待ちください。
 とりあえず、今週号を出せたのでほっとしています。まだまま混乱は収拾しそうにありませんが、がんばります。


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